歯科材料・器械
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原著
歯科鋳造用Ni-Cr合金の機械的性質に及ぼす鋳造方法と合金組成の影響 : 第2報 引張特性の変化とその原因
田島 清司柿川 宏小園 凱夫林 一郎
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1986 年 5 巻 2 号 p. 268-278

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抄録
前報において, クラウン・ブリッジ用Ni-Cr合金の引張強さと伸びは鋳造方法によって大きく変化することを報告した.本報では鋳造方法の違いにより生じた引張特性の変化の原因について検討を加えた.置換アルゴン雰囲気中高周波溶融-吸引加圧鋳造(Ar高周波)を用いた時のみ, 5種類のNi-Cr合金鋳造体の引張強さと硬さとの間に高い相関性が有意に認められた.このことからAr高周波以外の鋳造方法による鋳造体では鋳造欠陥が大きく影響していることがわかった.この影響は鋳造体の断面観察から確認され, 引張特性が低下していた鋳造体の破断面には樹枝状を呈した鋳巣状表面の様相や粒界破面が顕著に認められた.鋳巣状表面の様相は, CrやSi, Mnが比較的少なかった合金では気孔の表面であり, 炭素が極めて多く含まれていた合金では高温割れの表面であるとみなされた.
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© 1986 一般社団法人 日本歯科理工学会
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