抄録
可視光線重合型レジンの光重合開始剤システムが重合挙動に及ぼす影響について, 37℃に設定したDSCを用いて検討した.試作した可視光線重合型レジン組成物は, トリエチレングリコールジメタクリレート(3G)モノマー, 光増感剤, 還元剤から成っており, 光増感剤として, dl-カンファーキノン(CQ), 9-フルオレノン(FL), ベンジル(BZ)を用い, 還元剤として, N, N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DAEMA), チオフェノール(TP), 4-メルカプトフェニルメタクリルアミド(MPMA), チオサリチル酸(TSA), 3-メルカプトプロピオン酸(MPA), 2-メルカプトエタノール(ME)を使用した.最も有効な光増感剤はCQであり, CQ-DAEMA系では本実験条件下において, 最大発熱ピークに達する時間T=0.6〜0.7min, 最大発熱速度R=16〜18mcal/secであった.SH基を有する還元剤を3GとCQの可視光線重合型レジン組成物に添加すると重合の促進効果が認められた.この傾向はチオアルコール誘導体よりもチオフェノール誘導体においてより顕著であり, 特にTPは最も優れた重合加速効果を示し, DAEMAに匹敵するものであった.