歯科材料・器械
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原著
光重合型コンポジットレジンの開発に関する研究 ―シクロホスファゼン系モノマーに配合するコモノマーの選定およびフィラーの混合量と物性について―
菊地 久二
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1988 年 7 巻 3 号 p. 355-365

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抄録
本研究は, 光重合型コンポジットレジンの開発に関するもので, モノマーとして合成したシクロホスファゼンモノマー4PN-(TF)1-(EMA)7を用い, これにコモノマーおよびフィラーを配合した場合の物性について検討を行なったものである. 実験結果, 光重合型コンポジットレジンのモノマー組成としては, 4PN-(TF)1-(EMA)7モノマー80%にコモノマーとして2.6Eを20%配合し, 光増感剤としてCamphor quinone 0.28%, Benzil 0.12%およびEthyl p-dimethyl aminobenzoate 1.56%を加えた場合であった. 上記モノマー組成にフィラーを混合して, 光重合型コンポジットレジンを試作した結果, フィラーの混合量が増加するにしたがって曲げ強さおよび圧縮強さは増大し, 吸水量, 溶解量, 熱膨張係数および重合収縮率は低下した. 試作光重合型コンポジットレジンで, 最も良好な物性を示した場合は, 前述したモノマー組成にフィラーを80%混合した場合で, 曲げ強さおよび圧縮強さは, それぞれ90および303 MPaを示し, 硬さはHR 90.5を示した. 一方, 熱膨張係数および重合収縮率は, それぞれ15.4×10-6/℃および1.30vol%と小さい値を示した.
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© 1988 一般社団法人 日本歯科理工学会
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