歯科材料・器械
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原著
歯質と修復用レジンの接着 : アミノ酸誘導体-HEMA水溶液による被着面処理
高橋 貢鈴木 一臣中井 宏之
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1990 年 9 巻 1 号 p. 65-73

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抄録
歯質と修復用レジンの接着強化を目的として様々な材料および技法の研究・開発が行われている.しかし, 臨床的に満足な結果が得られていないのが現状である.そこで, 著者らはアミノ酸誘導体とHEMAの水溶液を歯質被着面処理材として用いることにより歯質とボンディング材との接着強化を図った.N-methacryloyl alanine(MAL)あるいはN-acryloyl alanine(AAL)とHEMAの適当な組成比の水溶液で処理した牛歯エナメル質および象牙質に市販ボンディング材およびコンポジットレジンを接着させたところ, MALではエナメル質に103kgf/cm2, 象牙質に80kgf/cm2, AALではエナメル質に99kgf/cm2, 象牙質に58kgf/cm2の最大の引っ張り接着強さを発現した.これはアミノ酸誘導体の歯質脱灰の効果だけでなくアミノ酸誘導体と歯質のハイドロキシアパタイトとの反応物の存在およびHEMAのコラーゲンなどの有機成分への作用によるものと考えている.
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© 1990 一般社団法人 日本歯科理工学会
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