歯科材料・器械
Online ISSN : 2188-4188
Print ISSN : 0286-5858
ISSN-L : 0286-5858
原著
金属にコーティングしたハイドロキシアパタイトセラミックスの空気中及び蒸留水中での曲げ強さのワイブル統計処理
若松 宣一後藤 隆泰足立 正徳井村 清一林 憲司亀水 秀男飯島 まゆみ行徳 智義柴田 俊一堀口 敬司金 昇考土井 豊森脇 豊
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 9 巻 2 号 p. 165-177

詳細
抄録
金属表面にコーティングする場合と同様な方法で作製したハイドロキシアパタイト(HAP)セラミックスの破壊応力に与える水の効果を評価するために, 四点曲げ試験を0.5mm/minの条件で空気中(20℃, 相対湿度73%)と蒸留水中(37℃)で行った。そして得られた強度データを2-パラメータワイブル統計を用いて解析した。各条件において, 曲げ強さのデータは単一モードのワイブル分布に従った.このデータの表面欠陥モデルを仮定したワイブル解析は, 空気中でワイブルパラメータm=7.8, σ0=26.2MPaと蒸留水中でm=8.1, σ0=18.5MPaを与えた.曲げ強さの平均値は空気中で27.3MPaと蒸留水中で18.2MPaであった.この結果より, 水のような腐食性環境が定応力速度で測定される破壊応力に影響を与えることは明らかである.この影響は試料が破壊するよりも低い応力レベルで起こるサブクリィティカルなクラックの成長が原因であると考えられる.また, 本研究で推定したワイブル分布関数を用いて, 試料の寸法と試料中の応力分布が破壊応力の平均値に与える影響を予測した.
著者関連情報
© 1990 一般社団法人 日本歯科理工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top