歯科材料・器械
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原著
各種象牙質前処理の水分透過性に及ぼす影響
田上 順次杉崎 順平細田 裕康
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1990 年 9 巻 2 号 p. 240-246

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抄録

レジン材料を象牙質に接着させるためには, 現在では酸性溶液による前処理が不可欠となっている.このさいに適用される様々な前処理によるスメア層の除去効果については主としてSEM観察による報告がなされている.本研究では, 接着性レジン修復に伴う各種象牙質前処理による象牙質の水分の透過性の変化量を, Pashleyの方法により測定し比較した.その結果, 以下のような結論が得られた.
1.リン酸ゲルおよび水溶液, 10-3溶液, 10-20水溶液による40秒処理では, Tenure Conditioner, Scotchprep, Gluma2による所定の処理および10-20ゲルによる40秒処理の場合と比べて, 水分の透過量がより大きく上昇した.
2.プライマーとして用いられる接着性モノマーを含むScotchprepやMirage Conditionerによる処理でもスメア層やスメアプラグが除去され, 水分の透過量は大きく上昇した.
3.Clearfil Photobondを1分間塗布した後レジンを十分に洗い流しても, 細管内にはスメアプラグ様のものが残っており, 水分の透過量に変化はみられなかった.
4.被処理象牙質面のSEM観察のみでは, 透過量の変化が予測できない場合があった.

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© 1990 一般社団法人 日本歯科理工学会
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