歯科材料・器械
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原著
歯科用ポーセレンと接着性レジンの接着における被着面処理に関する研究
今井 誠
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1990 年 9 巻 2 号 p. 301-313

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抄録
本研究は, 歯科用ポーセレンと接着性レジンとの接着力の強化を目的としてポーセレンのエッチング処理およびシランカップリング処理に改良を加えたものである.両処理で良好な接着強さが得られる処理条件を求めるとともに, シランカップリング剤塗布と加熱処理を併用した方法について検討した.その結果, 初期接着強さにおいては, エッチング処理した場合30%フッ化水素酸60秒処理が495kgf/cm2と最も高い接着強さを示した.また, シランカップリング処理では接着材と親和性の高いビニル基を持つシランカップリング剤が効果的であった.特に, γ-MPTSは濃度2%で425kgf/cm2と高くさらに150℃で10分間加熱すると523kgf/cm2と接着強さが向上した.また接着耐久性試験においては, #600サンドペーパー研磨面やγ-MPTSを塗布しただけの場合は, 20, 000回のサーマルサイクリング試験で全部が脱落したのに対し, 加熱処理すると20, 000回のサーマルサイクリング試験においても接着強さが初期値の74%を維持しており30%フッ化水素酸60秒処理とほぼ同等の耐久性を示した.
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© 1990 一般社団法人 日本歯科理工学会
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