抄録
光重合コンポジットレジンの光透過性を改善する目的で, マトリックスモノマーとフィラーの屈折率の整合性について検討した.低屈折率を有する8種の含フッ素芳香族ジメタクリレートおよびジアクリレートを合成した.これらのモノマーのうち3種はTEGDMAに対する相溶性に乏しかった.残り5種の含フッ素モノマーの1種とTEGDMAおよびUDMAから調製した8種の試作コンポジットの硬化深さおよびその他の物性を測定し, Bis-GMAまたはBis-MEPPとTEGDMAから同じ割合で調製した2種の対照コンポジットと比較した.これらのコンポジットレジンにはシラン処理したシリカフィラーを70wt%含有させた.実験群のコンポジットの硬化深さは, ひとつの例外を除いて, 対照群のコンポジットレジンに比較して有意に深かった.実験群のコンポジットの機械的性質は, 2, 3の例外を除いて対照群に匹敵した.しかし, その例外と対照群との差は小さかった.実験群のコンポジットの吸水量はBis-GMAを含有するコンポジットに比較してかなり低く, それはBis-MEPPを含有するコンポジットとほぼ同等であった.これらの結果から, 試験した5種の含フッ素モノマーは光重合コンポジットレジンのマトリックスモノマーとして有用であると結論された.