本研究では2〜4歳の幼児(N134)を対象に,「喜び」,「悲しみ」,「怒り」,「驚き」の基本4情動について,情動語を呈示してそれにあう表情図を選択させる課題(言語呈示課題)と,赤ちゃんの写真を提示して赤ちゃんが示す情動と共通の情動を示す表情図を選択させる課題(表情呈示課題)を実施した。その結果,両課題とも正答率は加齢とともに有意に上昇したものの,年齢によらず一員して言語呈示課題の方が高かった。表情呈示課題では口など顔面構成要素の形状が共通である表情図を選択する傾向があり,それが成績を下げる要因であった。これらの結果は,情動語とそれに対応する表情の結びつきが2歳までには発達し始めていることを示唆する。