発達心理学研究
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3,4歳男児の友だち集団の特徴 : 個人行動及び二者関係と優勢順位との関連
謝 文慧山崎 晃
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2001 年 12 巻 1 号 p. 24-35

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抄録

本研究では,特定の3,4歳男児の友だち集団について,遊びの共有化過程に影響するといわれている各成員個人の行動特徴と成員間の二者関係が集団内の優勢順位とどのような関連があるのかを明らかにすることを目的とする。3歳男児9名による1つの友だち集団は2月から3月まで自由遊び場面を通して観察された。集団全体の構造的特徴として優勢順位を用いて,それに基づき個人の行動特徴と集団成員間の関係について検討を行った。結果として,集団全体の活動は優勢順位の上位者を中心に行われており,成員間の優勢順位の開きが大きいほど自己開示が生じにくく,優勢順位は集団全体の活動とも集団成員間の行動とも関連していた。観察集団の中で,集団の中心的存在を示す子がおり,彼が多くの成員と親密的,調和的な相互作用を行っていた。それと同時に,彼が優勢順位の最上位でもあり,成員を統制する行動も多かったことが示された。集団成員が優勢順位での自分の位置づけに基づいて,相手によって相互作用を行った。優勢順位が集団内の社会的行動を制御する働きは3,4歳ごろにすでに現れていることが示された。成員個人の行動特徴や成員間の二者関係が集団全体の優勢順位から影響を受けると同時に,親密度の高い二者関係が優勢順位の変遷を促す可能性や,また,その二者関係が個人の行動特徴によって決められている可能性も示された。

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© 2001 一般社団法人 日本発達心理学会
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