発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
乳児をもつ母親の抑うつ傾向と夫からのサポートおよびストレスへのコントロール可能性との関連
小林 佐知子
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2009 年 20 巻 2 号 p. 189-197

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抄録
本研究は,乳児をもつ母親の抑うつ傾向と夫からのサポートとの関連について,育児関連ストレスへのコントロール可能性を含めて検討することを目的とした。3〜4ヶ月児をもつ242名の母親を対象に,育児関連ストレス,夫からのサポート,ストレスへのコントロール可能性と抑うつ傾向との関連について検討した。その結果,育児関連ストレスは抑うつ傾向と直接的に関連をするとともに,コントロール可能性を介して間接的に関連をすることが明らかになった。一方,夫からのサポートは抑うつ傾向と関連しなかった。夫からのサポートとコントロール可能性の交互作用がみられ,コントロール可能性は抑うつ傾向と負の関連をするが,その関連性は夫からのサポートによって異なることが示された。コントロール可能性が低い場合でも,夫からのサポートが多い母親は,少ない母親に比べて抑うつ傾向が低かった。これらの結果から,抑うつを予防するためには,母親自身がストレスへのコントロール可能性を認知することが必要であること,コントロール困難な場合には,夫からのサポートが有効であることが示唆された。考察では,これらの知見を踏まえた産前教育の必要性が論じられた.
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© 2009 一般社団法人 日本発達心理学会
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