本研究は,年少児,年中児,年長児を対象に,発話者の特定を行う外部情報のソースモニタリング能力に関する発達的検討を行った。まず学習として,各年齢の半数の参加者には自己紹介文,残りの半数には単語を,男性と女性の音声刺激でそれぞれ提示した。その後のテスト時では,再認テストとソースモニタリングテストを行った。ソースモニタリングテストでは,"男性の声だけで聞いた","女性の声だけで聞いた","男性と女性の両方の声で聞いた","どちらの声でも聞かなかった",の4つの項目から判断させた。その結果,年中児と年長児は,年少児よりもソースモニタリングテストの成績が良かった。また,年中児と年長児は,単語と比較して自己紹介文のほうが判断成績が良かった。そして,どの年齢においても4つの判断項目のうち"両方に共通する情報(両方の声で聞いた)"の項目に対する判断成績が最も悪く,幼児は2人の発話者の両方から提示された情報を判断することが困難であった。以上の結果から,年中児以降では,自己紹介文のほうが単語よりもソースモニタリング判断を行いやすいことが示唆された。また,年少児でも,一定のソースモニタリング能力は備わっていることが明らかとなった。
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