発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
原著
青年期における友人の慰め方が受け手の感情に与える影響:励ましや共感の言葉かけと何もせずそっと離れる行動の比較
小川 翔大
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2014 年 25 巻 3 号 p. 279-290

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抄録

本研究は中学生,高校生,大学生を対象に,親しい友人から受ける慰め方の違いによる,慰めの受け手に生じる感情の違いを検討した。慰め方の種類は,“励まし”,“共感”,“何もせずそっと離れる”の3つであった。調査対象者には,人間関係のトラブルで親しい友人から慰められる話を読んでもらい,それぞれの慰め方で慰められた時の感情を評定してもらった。その結果,励ましや共感は,何もせずそっと離れる場合よりも,受け手の感謝が高く,反発が低かった。この結果から,慰めをする人が親しい友人の場合,あえて何もせずにそっとしておくより,励ましや共感の言葉かけをした方が,受け手にとって効果的な慰めになることが示唆された。また,慰め方の種類ごとで,学校段階による慰められた時の感情の違いのパターンが異なっていた。励ましと共感を受けた場合では,大学生は中高生よりも感謝が低く,反発が高かった。何もせずそっと離れた場合では,高校生は中学生と大学生よりも感謝が低く,反発が高かった。各学校段階によって生じる慰められた時の感情の違いは,友人に対する期待や欲求の発達的な変化によって生じていると考察された。

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© 2014 一般社団法人 日本発達心理学会
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