2017 年 28 巻 4 号 p. 233-243
本研究では,大学受験のとらえ方と大学受験に対するコーピングの組み合わせによる,特性的自己効力感やキャリア選択自己効力感の高さの違いについて検討した。まず,クラスター分析により,大学受験のとらえ方と大学受験に対するコーピングの組み合わせを抽出した。その結果,“肯定・積極群”,“半肯定・消極傾向群”,“否定・消極群”,“大学受験無関心群”の4群が抽出された。さらに,以上の4群を独立変数,特性的自己効力感およびキャリア選択自己効力感の下位尺度を従属変数として1要因分散分析を行ったところ,特性的自己効力感,目標選択および意思決定の主体性度において有意差が認められた。多重比較の結果,特性的自己効力感においては,“肯定・積極群”が“否定・消極群”や“大学受験無関心群”より有意に得点が高かった。また,目標選択においては,“肯定・積極群”が“否定・消極群”より有意に得点が高かった。さらに,意思決定の主体性度においては,“肯定・積極群”が“否定・消極群”より有意に得点が高く,“大学受験無関心群”が他の3群より有意に得点が低かった。以上の結果より,大学受験のとらえ方と大学受験に対するコーピングの組み合わせにより,特性的自己効力感とキャリア選択自己効力感の一部の高さが異なることが明らかとなった。そして,大学生を対象としたキャリア支援で,大学受験を視野に入れることの重要性が示唆された。