2018 年 29 巻 4 号 p. 181-188
近年,日本国内における発達研究の国際化が進んでおり,国際誌に日本発の英語論文が掲載されることも多くなってきた。しかし,学術論文を国際誌へ投稿することは,現在の心理学業界において最も優先される選択肢であるとは必ずしもいえないのが現状である。そのような中で,著者らは従来の発達心理学の枠を越えた,学際的なアプローチによってその成果を国際的な場で発表し続けてきた。本稿では,著者らがこれまで行ってきた,子どもを対象にした利他行動における他者の監視の効果に関する発達研究をまず紹介するとともに,日本発の発達研究をするにあたり,著者らが何故このテーマを選んだかについて述べる。最後に研究を国際的に発信する意義と今後の日本における発達心理学の展望について著者らの考えを記す。