発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
原著
小中連携による集団宿泊活動が中学校生活への期待と不安に及ぼす効果:不登校傾向に着目して
千島 雄太茂呂 輝夫
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 30 巻 2 号 p. 74-85

詳細
抄録

本研究の目的は,小学6年生を対象とした小中連携による集団宿泊活動が,中学校生活への期待と不安に及ぼす効果について明らかにすることであった。集団宿泊活動では,同じ中学校に入学予定であり,現在は異なる小学校に通う6年生がコミュニケーションワーク等で交流を行うとともに,中学校教師による出前授業を受けた。予備調査では,中学校生活への期待と不安を測定するための尺度を作成するため,小学6年生180名を対象に質問紙調査が行われた。因子分析の結果,学業と友人関係の領域で,それぞれ期待と不安を測定する4因子モデルが採用された。また,信頼性と妥当性についても検証が行われ,十分な結果が得られた。本調査では,予備調査で作成された尺度を用いて,小学6年生155名を対象に,集団宿泊活動の効果測定が行われた。調査時期は,集団宿泊活動1週間前のpre,直後のpost,約3ヵ月後のfollow-upの3回であった。分析の結果,小学校における別室登校を希望する不登校傾向が高い児童において,集団宿泊活動の後に中学校での友人関係への期待が高まっており,その効果は,3ヵ月後のfollow-upでも持続していた。

著者関連情報
© 2019 一般社団法人 日本発達心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top