発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
原著
中学生の本来感と優越感および学校適応感との関連の検討:本来感と随伴性自尊感情の組み合わせの視点から
折笠 国康庄司 一子
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2019 年 30 巻 3 号 p. 132-141

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抄録

本研究は,中学生の自尊感情を本来感と随伴性自尊感情との組み合わせでとらえ,この2要因の組み合わせによって適応に関連する変数への影響が異なることを示すことを目的とした。具体的には自尊感情を本来感と優越感の高低の組み合わせで4類型に分類し,同程度の自尊感情であっても本来感と優越感の程度によりいい子傾向,社会的スキル,学校適応感の程度には差が見られ,さらに類型と学年によっても違いが生じるであろうという仮説を立てた。対象は中学1年生から3年生までの676名であった。その結果,仮説は部分的に支持され,本来感と優越感の組み合わせによる4群の出現率では学年による差は確認されなかった。一方,学校適応感に対しては優越感より本来感が有意な影響を及ぼしていた。さらに,自尊感情のうち,本来感と優越感のどちらも高い群が社会的スキルが高く,学校適応感も4群の中で最も高いことが確認され,中学生の自尊感情を考慮する際には,両者の組み合わせでとらえることの重要性が示唆された。

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© 2019 一般社団法人 日本発達心理学会
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