発達心理学研究
Online ISSN : 2187-9346
Print ISSN : 0915-9029
原著
知的好奇心の年齢差:日本人成人の横断調査による検討
汀 逸鶴小塩 真司
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 31 巻 2 号 p. 91-97

詳細
抄録

知的好奇心は知的活動を動機づけ,生涯にわたって心身の健康に関わる特性であることがこれまでの研究により示されている。本研究は,日本人成人を対象とした横断的調査から,知的好奇心の年齢に伴う変化を検討した。分析に際して,情報探索の方向性によって定められた知的好奇心の下位概念である,拡散的好奇心と特殊的好奇心のそれぞれについて検討を行った。オンライン調査に参加した4376名(男性2896名,女性1480名,平均年齢51.8歳)のデータを分析の対象とした。階層的重回帰分析の結果,拡散的好奇心は年齢に伴って曲線的に上昇する傾向が,特殊的好奇心は年齢に伴って直線的に上昇する傾向が認められた。また,拡散的好奇心については男性の方が女性よりも平均値が高い傾向もみられた。これらの結果は,最終学校段階や世帯年収を統制しても同様であった。本研究で得られた結果と先行研究の知見から,日本人の成人期における知的好奇心の役割について議論された。

著者関連情報
© 2020 一般社団法人 日本発達心理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top