基本的生活習慣の補助と自立に向けた支援が必要とされる乳児期後半から歩行開始期,幼児期にかけては,子どもの世話や社会化など,養育を担う親の役割は多面的になる。本稿では,世話に着目した実践研究と社会化に着目した基礎研究の両面から先行研究のレビューを行った。前半では,基本的生活習慣(食事・排泄・睡眠・着脱衣・清潔)における子どもの自立過程と親による補助・自立支援行動の時系列的関連を概観した。各基本的生活習慣について子どもの自立が進む期間は,親は保護・統制・足場かけなど多面的な関わりを行っていることが示された。後半では,親の役割の多面性に着目する基礎研究として,社会化の「領域固有性アプローチ」ならびに養育行動に対する親の動機づけに関わる「目標制御モデル」を概観し,実践的観点から両者の関連を検討した。親の養育行動を支援するためには,様々な場面で必要となる自己制御の多様性を重視し,個々に効果的な親の役割を提案する研究が必要である。