日本歯科麻酔学会雑誌
Online ISSN : 2433-4480
原著論文
歯科医療における全身麻酔や静脈内鎮静法の需要と供給に関する実態調査
石田 義幸水田 健太郎丹羽 均砂田 勝久飯島 毅彦
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2024 年 52 巻 2 号 p. 86-97

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抄録

【要旨】 本邦の歯科医療における麻酔管理の需要と供給の実態を明らかにするため,無作為に抽出された歯科医院および全国の歯科医師会を対象にアンケート調査を行った.有効回答数は歯科医院482施設(回収率30.4%),都道府県歯科医師会26団体(回収率55.3%),郡市区歯科医師会327団体(回収率44.1%)であった.歯科医療における麻酔管理の需要は一定割合存在することが示された.麻酔管理の依頼先がある歯科医院は69.3%であり,日帰りで受診可能な複数の医療機関と連携していた.種別では病院歯科(62.0%),大学病院(歯科)・歯学部附属病院(57.5%)の順に多く,待機期間は2カ月以内が過半数であった.麻酔管理の需給バランスは,大学病院設置の有無にかかわらず,約4割の地域においてとれていなかった.その理由として,麻酔管理が可能な歯科医療機関あるいは歯科麻酔科医の不足という意見が約2/3以上の団体からあった.歯科医療における麻酔管理への患者または保護者の認知度はきわめて低い(1/4未満)と評価した施設・団体が大部分を占めた.麻酔管理を用いた歯科医療が実施可能な医療機関であることを広告(標榜)することは,麻酔管理の普及に加えて,適切な医療機関の選択につながるという意見が過半数の施設・団体からあった.歯科医療における麻酔管理を実施できる医療機関および歯科麻酔科医の増加,標榜科名取得などが課題であると考えられた.

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