日本歯科麻酔学会雑誌
Online ISSN : 2433-4480
原著論文
歯科患者を対象とした歯科用局所麻酔剤アルチカイン塩酸塩・アドレナリン酒石酸水素塩注射剤(OKAD01)のリドカイン塩酸塩・アドレナリン酒石酸水素塩注射剤を対照とした有用性および安全性の検討(アルチカイン塩酸塩第Ⅲ相試験)
樋口 仁植野 高章三島 克章飯島 毅彦丹羽 均角南 次郎星島 宏水田 健太郎渡辺 禎久前田 茂中村 誠司細井 宏輝吉田 道弘宮脇 卓也
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2025 年 53 巻 1 号 p. 1-12

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抄録

【要旨】 われわれは歯科用局所麻酔剤アルチカイン塩酸塩・アドレナリン酒石酸水素塩注射剤(OKAD01:アルチカイン)の有効性および安全性をリドカイン塩酸塩・アドレナリン酒石酸水素塩注射剤(リドカイン)を対照として評価するアルチカインの国内第Ⅲ相試験を実施した.

 下顎埋伏智歯(半埋伏歯)の抜歯を行う日本人成人患者を対象とした.アルチカインあるいはリドカイン2~3カートリッジを伝達麻酔と浸潤麻酔の併用,または浸潤麻酔のみで投与し,下顎埋伏智歯の抜歯を行った.主要評価項目は,Visual Analogue Scale(VAS)(0~10cm)を用いた患者評価による歯科施術中の痛みとした.

 VASの平均値(95%信頼区間(95%CI))は,アルチカイン投与群(42例)で0.90(0.32~1.48),リドカイン投与群(44例)で1.37(0.63~2.11)であった.VASの平均値の群間差(アルチカイン投与群−リドカイン投与群)(95% CI)は−0.46(−1.39~0.47)であり,上側信頼限界は同等限界として設定した1.0より低く,リドカイン投与群に対するアルチカイン投与群の非劣性が検証された(p=0.0012).また試験薬に関連した有害事象は両群ともに認めなかった.

 本試験によりアルチカインの有効性に関してはリドカインに対する非劣性が検証され,安全性に関してはリドカインと同程度であることが確認された.

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