2012 年 48 巻 5 号 p. 217-225
共同作業時において経験や作業環境の悪さがコミュニケーションエラーの発生へ与える影響を検討するため,それらを条件としコミュニケーションエラーの誘発実験を行った.実験参加者は100名であった.2名を1チームとし,2チームが制限されたエリア内で玩具の組立作業を行う課題を与えた.このとき,各チームが相手チームの作業エリア内を移動するよう設定した.また,コミュニケーションのルールを定め,逸脱した場合をコミュニケーションエラーとした.その結果,経験により作業者の行動量は増加し,送信側のコミュニケーションエラーの発生率は低下した.これは未経験者同士のチームでは単純な作業での単純なコミュニケーションのルールさえ守られないことを示唆している.一方,作業環境の悪さにより作業者の行動量やコミュニケーションエラーの発生率に影響はなかった.また,各コミュニケーションエラーの発生率の間に複数の有意相関が見られた.