人間工学
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48 巻, 5 号
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表紙
原著
  • 高橋 明子, 島崎 敢, 石田 敏郎
    2012 年48 巻5 号 p. 217-225
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    共同作業時において経験や作業環境の悪さがコミュニケーションエラーの発生へ与える影響を検討するため,それらを条件としコミュニケーションエラーの誘発実験を行った.実験参加者は100名であった.2名を1チームとし,2チームが制限されたエリア内で玩具の組立作業を行う課題を与えた.このとき,各チームが相手チームの作業エリア内を移動するよう設定した.また,コミュニケーションのルールを定め,逸脱した場合をコミュニケーションエラーとした.その結果,経験により作業者の行動量は増加し,送信側のコミュニケーションエラーの発生率は低下した.これは未経験者同士のチームでは単純な作業での単純なコミュニケーションのルールさえ守られないことを示唆している.一方,作業環境の悪さにより作業者の行動量やコミュニケーションエラーの発生率に影響はなかった.また,各コミュニケーションエラーの発生率の間に複数の有意相関が見られた.
  • 嶋脇 聡, 酒井 直隆, 岡田 聖也
    2012 年48 巻5 号 p. 226-233
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    三次元動作解析システムを用いてドアノブの把持・回旋動作時における手関節および前腕関節の角度を計測して,それらに及ぼすドアノブ把持位置およびドアノブ回転軸に加わるトルクの影響を調査した.健常男性10人に,肘関節90°屈曲位からドアノブを把持させ,その後,回旋させた.ドアノブ把持位置は4つの条件(上部,右上部,右部,下部)とした.負荷トルクは4つの条件(0.1,0.5,1.1,1.7 Nm)とした.関節角度の計測結果より,把持および回旋動作の関節角度変化を求めた.把持動作の結果より,全ての把持位置で尺屈動作,上部および右部で背屈および回内動作であった.回旋動作の結果より,上部および下部で尺屈動作,上部および右上部で背屈および回内動作であった.負荷トルクの結果より,回内・回外動作を除く動作で,負荷トルクの増加に伴い,関節角度変化の変動が見られた.これは体の重心移動に起因すると思われる.
  • −ミュージアムにおける情報提供サービスを対象事例とした試み−
    中西 美和, 安間 裕起
    2012 年48 巻5 号 p. 234-243
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    ユーザにモノやサービスを「使ってみたい」と感じさせる動機づけは,内発的動機づけに分類される.本稿では,心理学的知見に基づいて「ユーザは自分の内的な特性と適度にずれた特性を持つモノやサービスに対して,利用に対する動機づけが誘発される」という仮説モデルを立て,実験的検証を試みた.具体的には,ミュージアムでの情報提供サービスを適用事例とした実験を行い,各被験者の内的な特性を日常の関心の対象カテゴリーによって同定した上で,それと適度にずれたカテゴリーの情報を提供した場合と,それを考慮せず任意のカテゴリーの情報を提供した場合とを比較検討した.ミュージアム体験中の行動,表情,及び体験後の内省の分析から,前者では後者に比べて被験者の内発的動機づけが促進されたと意味づけられる結果が得られた.この結果は,上記の仮説モデルをサービスデザインの一手法へと発展させる上で,支持的な示唆を含むものといえる.
  • 茅原 崇徳, 肥田 拓哉, 南 博貴, 瀬尾 明彦
    2012 年48 巻5 号 p. 244-254
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    筋電図と関節角度を用いて総合的な作業負担を定量的に評価する手法を提案した.具体的には,作業負担の総合評価を多目的最適化問題として定式化し,最適解を応用して作業負担の総合評価指標を作成した.提案した手法を冠状面に垂直な方向に対する押込み作業の評価に適用し,提案手法の有効性を検討した.押込み作業の水平位置と垂直位置を設計変数とし,それらを変化させて被験者10名の8箇所の筋電図と12自由度の関節角度を計測した結果,各筋電図や各関節角度の定性的な傾向が一致せず,トレードオフの関係にあることを確認した.また,各被験者の最適解の水平位置は被験者の右側に集中しているが,垂直方向は被験者間のばらつきが大きいことを定量的に評価した.さらに,被験者全体での作業負担の総合評価指標を作成し,被験者の正面から右側で,かつ腰高から肘高までの範囲が総合的な作業負担が比較的低いことを確認した.
  • 戸田 健, 尾崎 信耶, 井手口 直子, 宮木 智子, 南部 恵子, 池田 恵子
    2012 年48 巻5 号 p. 255-265
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    調剤薬局薬剤師による在宅患者の服薬支援のため,従来携帯電話のメール機能を利用した患者−薬剤師間コミュニケーションシステムがある.しかし操作性,応答性や双方向性の課題からコンプライアンスが継続しないという根本的問題が指摘された.本研究ではこの問題に対処するため,スマートフォンを利用し,小児患者であっても簡単に服薬報告の作成と薬剤師の応答確認ができ,また薬剤師は業務中素早く応答できるユーザインタフェースを提案する.提案システムを評価するための実験システムを構築し,保護者同伴の小児患者35組および薬剤師4人を対象に2ヶ月間実証実験を行い,有用性の評価を行った.操作時間や応答時間等の定量データ及びアンケート評価から,提案ユーザインタフェースがコンプライアンスの継続に役立つことを確かめた.しかし長期の服薬患者では,長期間における負担から操作性と有用性の両面で低評価であった.このため長期の服薬患者に対してはサービス・機能要求及びシステム要件の見直し,ユーザインタフェースの再設計が必要であることがわかった.
  • 齋藤 誠二, 田中 翔子, 松本 和也
    2012 年48 巻5 号 p. 266-273
    発行日: 2012/10/15
    公開日: 2012/12/25
    ジャーナル フリー
    転倒しにくいスリッパを提案することを目的に,スリッパの性質と歩容およびスリッパのズレとの関連について検討した.若年者男性10名と女性10名に異なる4足のスリッパを履かせ8 mの自由歩行をさせた.そして,歩行中における任意の3歩分の歩容と下肢筋電図を分析した.さらに,スリッパの主観評価と屈曲性評価を実施した.その結果,屈曲性の低いスリッパを履いて歩行すると片足支持期における足関節の背屈が抑制されることが示唆された.また,遊脚期終期において足部が床と接触することを避けるために,股関節をより屈曲させるとともに,膝関節の伸展を遅らせる必要があることが示唆された.さらに,ソールの屈曲性が影響していると推察されるフィット性が低いスリッパでは,遊脚期においてスリッパが足部からズレやすいことが示唆された.したがって,高齢者のスリッパによる転倒を予防するためには,適度な屈曲性を明らかにする必要がある.
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