2015 年 51 巻 5 号 p. 324-332
本研究は,靴底の摩耗に影響を与える要因を明らかにすることを目的として,若年男性の靴底の摩耗形状と使用状況および歩容との関係性について分析した.若年男性35名が日常的に使用しているスニーカーの摩耗形状を計測するとともに,自由歩行中の下肢の角度や関節角度,移動速度,加速度を計測し,これらの関係性について相関分析および重回帰分析により検討した.その結果,踵外側の摩耗は,荷重応答期における距骨下関節角度と使用期間,摩耗の厚さは,荷重応答期のすり足距離,遊脚終期の足関節角度および両期の膝関節角度と関係することが認められた.また,底面摩耗角度は,荷重応答期と遊脚終期の足関節角度と距骨下関節角度および歩隔と関係することが認められた.以上のことから,若年男性の靴底摩耗は,使用状況と一部の歩容から説明できることが示唆された.従って,使用者の歩容を考慮することで,より効果的な耐久性への配慮と摩耗による機能性低下を予防できる.