本研究は筋への等尺性負荷に対する筋音図の振幅と周波数の性差を,コンデンサマイクロフォン型筋音図センサーを用いて,従来から一般的な筋電図と比較することで明らかにすることを目的とした.等尺性肘屈曲運動を10%MVCから80%MVCまでの段階負荷にて実施した.筋電図の振幅の実効値は負荷とBMIに依存性であり,性差はみられなかった.筋電図の中央パワー周波数は負荷によらずほぼ一定であり,男性が高周波寄りであった.筋音図の実効値は負荷依存性であり,かつ男性が全負荷範囲で高値であった.筋音図の中央パワー周波数は負荷依存性があるが性差はみられなかった.筋電図では,女性に遅筋線維が多く男性に速筋線維が多いと考えられることからその動員の量と割合が筋電図を特徴づけることを支持し,一方で筋音図は振幅が負荷のよい指標となるが,機械的振動伝播特性が収縮強度によらない定常的な性差をもたらしていると考えられた.