人間工学
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原著
定常視覚誘発電位を用いたメニュー選択インタフェースの識別アルゴリズムの提案
棒谷 英法大須賀 美恵子
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2017 年 53 巻 1 号 p. 8-15

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抄録

本研究は,定常視覚誘発電位(Steady State Visual Evoked Potential:SSVEP)を用いたメニュー選択インタフェースのための識別アルゴリズムの開発に関するものである.誰にでも訓練なしで簡単に使えるインタフェースを目標とし,個人適応のためのキャリブレーションや識別器の学習を必要としないアルゴリズムを提案する.脳波計測には短時間で装着できる市販のヘッドセット(EEG Neuroheadset,Emotiv社)を用い,光過敏性発作のリスクを低減するために20 Hz以上の刺激周波数を用いることを特徴とする.実験には若年成人8名が参加した.リフレッシュレート120 Hzの液晶ディスプレイに20~30 Hzの6周波数で正弦波状に輝度変調した四角形の刺激を提示し,いずれかの刺激を注視させた.収集データを基に,加算平均法で各刺激周波数のSSVEPを求め,後頭部左右2部位(O1,O2)の平均振幅のZ-Scoreを比較し,有意に大きいSSVEPを示す周波数を選択するアルゴリズムを考案した.8名中5名の結果は,良好な結果を示し,平均正答率83.3%,平均情報伝達率30.5 bits/min,識別に必要な試行回数の平均は2試行以下であった.うち2名では,正答率100%,情報伝達率35.8 bits/minという結果を得た.

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© 2017 一般社団法人 日本人間工学会
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