脚立など高所作業用具上での作業における姿勢安定性の向上に向け,本研究では狭い足場板上での静的立位姿勢の安定性を評価した.実験は男性11名を対象とし,前後幅6~25 cmまでの足場板上に50秒間静止した際の姿勢安定性を,矢状面における身体動揺に基づき評価した.具体的には足場の前後幅が身体質量中心と床反力作用点の位置および速度,関節角度,角速度,筋電図,主観評価に与える影響について検討した.その結果,足場幅の減少に伴い床反力作用点の移動速度が非線形的に増加しており,それぞれ足場幅の逆数の関数として精度よく近似できることが示された.本研究より現在広く使用されている脚立のステップ幅上では姿勢が不安定になりやすいと考えられ,高所作業用具上で平地と同程度に姿勢を安定化するにはステップは前後に15 cm以上必要であることが示唆された.