人間工学
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原著論文
アウトカムの最適化をねらいとしたSafety-1/2両モードの切替に関する研究
-火災発生時の消火活動を想定したシミュレーション実験を通して-
九保 直樹中西 美和
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2020 年 56 巻 1 号 p. 11-19

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抄録

Safety-1では,「安全とは悪いアウトカムの数ができるだけ少ない状態にあること」,Safety-2では「安全とは成功のアウトカムができる限り多い状態にあること」とされている.本研究では,状況変動に応じたSafety-1及びSafety-2両モードの使い分けの有効さを実験的に検証すること,及び両モードを切り替えるべき状況変動の定量的な目安を導き出すことを目的とした.火災発生時の消火活動を想定したシミュレーション実験の結果から,1)状況変動が大きくなるほど,Safety-1モードからSafety-2モードに切り替えて対応するケースが増えるが,一方で定常状態に比して15倍を超えるような状況変動が生じない限りSafety-2モードへの切替には慎重であること,2)状況変動が大きくなるほど,Safety-1モードで対応するよりSafety-2モードで対応する方が,成功のアウトカムは増し,成功のアウトカムを得るためのよりよい切替のタイミングの目安は,状況変動の大きさが定常状態に比して4~6倍であること,を示した.

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© 2020 一般社団法人 日本人間工学会
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