本研究の目的は,作業環境・作業後の休憩場所が作業者の精神的疲労感に及ぼす影響を検討することであった.実験の被験者は,まず屋内あるいは屋上いずれかの実験環境で負荷課題(文章の書き写し)を行った.精神的疲労感は課題の前後で心理尺度(Profile of Mood States-2nd Edition)を用いて測った.被験者は,屋内ないし屋上で5分間の休憩を取得した後で,先ほどとは異なる,もう一方の実験環境で同一の負荷課題を行った.実験の結果,負荷課題前にくらべた負荷課題後の精神的疲労感の上昇の程度は屋内でも屋上でも変わらなかった.一方,5分間の休憩を取得することによる疲労感低減効果は,屋内にくらべて屋上の方が大きかった.これらの結果は,屋内にくらべて,作業後の休憩を屋上で取得することは疲労感解消に効果的であることを示唆する.