本研究では,股関節屈曲を補助する歩行アシストスーツの使用が,動作および主観的使用効果に及ぼす影響を,時間経過を踏まえて検討した.若年健常者28名を対象とし,3条件(装着しない(F条件),装着はするが電源は入れない(N条件),アシスト有り(A条件))における約5分間のトレッドミル歩行の歩行動作および主観評価を比較した.A条件の歩行動作では,他の条件と比較して股関節角度の変化量および最大屈曲角度が増加したが,アシストの安定性を高めるためと考えられる両脚支持期の延長等の動作調節が見られた.なお,動作への影響の一部は時間経過に伴い顕著になった.主観評価に関しては,アシストの負担軽減効果が時間経過に伴い有意に高くなった.以上のように,歩行アシストの使用により,その効果は動作に反映され,また主観的な負担軽減の評価が時間経過に伴い高くなる一方,動作に意図した効果以外の影響も現れることが示唆された.