人間工学
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56 巻, 6 号
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表紙
エディトリアル
原著論文
  • 宮崎 由樹, 伊藤 資浩, 神山 龍一, 柴田 彰, 若杉 慶, 河原 純一郎
    2020 年56 巻6 号 p. 222-230
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2021/12/11
    ジャーナル フリー

    顔を細く・小さく見せることに対する日本人の関心は高いが,どのような要因が顔の見かけの大きさを左右するかについては未検討な点が多い.本研究は,顔全体のサイズ知覚に,どの顔部位のサイズ情報が関与するか検証することを目的とした.そのためにまず,女性・男性顔132画像において,20箇所の顔部位の縦幅や横幅を計測した.また,その計測サイズとそれらの画像毎に評定された見かけの顔サイズ評定値との相関を算出した(研究1).その結果,顔全体のサイズ知覚には,顔画像の性別に関係なく,顔面上部(額の長さ等)にくらべて顔面下部のサイズ(頬の広さや顎の長さ等)が強く正相関していた.この結果に基づき,顔面下部を衛生マスクで遮蔽し,顔面下部のサイズ情報を観察できなくすることで,顔のサイズ知覚が変わることも実証した(研究2).これらの結果は,顔全体のサイズを判断する際,顔面下部のサイズ情報が重要な手がかりとして用いられていることを示している.

  • Khuria AMILA, Hiroyuki UMEMURO
    2020 年56 巻6 号 p. 231-244
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2021/12/11
    ジャーナル フリー

    This study investigates how the type and order of creative tasks may influence the affective states and group work satisfaction of people engaged in creative group work. The experiment was a mixed design, with the type of creative tasks and the order of the task as fixed factors, and the students nested in groups as random factors. Groups of five to six participants performed two kinds of conventional creative tasks: the alternative uses test as a divergent task and the remote associates test as a convergent task. Five groups started with the divergent task and then performed the convergent task, while the other five groups started with the convergent task and then performed the divergent task. The affective states and group work satisfaction were measured repeatedly after each of the two tasks. The results show that the convergent task produced a more positive effect on the affective state and group work satisfaction than did the divergent task. Furthermore, the task order had an impact on affective experience. The second task induced a higher valence than the first task. This study provides a better understanding of the design of creative group tasks to yield better affective experiences.

  • 糸井川 高穂, 村上 遥香, 山下 若葉, 村田 智明, 古賀 誉章
    2020 年56 巻6 号 p. 245-252
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2021/12/11
    ジャーナル フリー

    本研究の主な目的は,誤判断が生じやすい条件下での判別の容易性を高めることを意図してデザインした新たな開閉ボタンの効果を検証することである.そのために,大学生を実験参加者とした実験を行った.エレベータの開閉ボタンのデザインとして,一般的なデザイン,一般的なデザインのイラストを用いるもののサイズおよび色について部分最適化したデザイン,イラストを含む全体を最適化したデザインを採用し,比較した.正答率,所要時間,注視時間率を判別の容易性の評価指標とした.その結果,一般的なデザインの開閉ボタンのうち,特に三角の向きで開閉を表現した開閉ボタンにおいて,約3割の誤答が生じた.その一方で,全体最適化したデザインにおいては,押し間違いを大幅に軽減することができた.さらに,部分最適化したデザインおよび全体最適化したデザインにおいて,開閉を迷う時間を短くすることができた.以上より,本研究では,エレベータの開閉ボタンのデザインの部分最適化および全体最適化により開閉の判別を容易にできることを明らかにした.

短報
  • 松浦 皐月, Jeewon CHOI, Teerapapa LUECHA, 武末 慎, 村木 里志
    2020 年56 巻6 号 p. 253-258
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2021/12/11
    ジャーナル フリー

    本研究では,股関節屈曲を補助する歩行アシストスーツの使用が,動作および主観的使用効果に及ぼす影響を,時間経過を踏まえて検討した.若年健常者28名を対象とし,3条件(装着しない(F条件),装着はするが電源は入れない(N条件),アシスト有り(A条件))における約5分間のトレッドミル歩行の歩行動作および主観評価を比較した.A条件の歩行動作では,他の条件と比較して股関節角度の変化量および最大屈曲角度が増加したが,アシストの安定性を高めるためと考えられる両脚支持期の延長等の動作調節が見られた.なお,動作への影響の一部は時間経過に伴い顕著になった.主観評価に関しては,アシストの負担軽減効果が時間経過に伴い有意に高くなった.以上のように,歩行アシストの使用により,その効果は動作に反映され,また主観的な負担軽減の評価が時間経過に伴い高くなる一方,動作に意図した効果以外の影響も現れることが示唆された.

  • 松崎 一平, 榎原 毅
    2020 年56 巻6 号 p. 259-263
    発行日: 2020/12/15
    公開日: 2021/12/11
    ジャーナル フリー

    新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症対策として,山下病院では患者に関わる全スタッフに対して,勤務中はフェイスシールド着用が義務化された.フェイスシールド着用義務化以降,スタッフより頭痛やめまいの訴えがよく聞かれるようになった.そこで,医師・看護師全員に対してアンケートを実施し,フェイスシールド装着義務化前後での頭痛・めまいの頻度および症状の程度を比較検討した.当病院に従事する全ての医師12名および看護師89名にオンラインアンケートを実施した結果,フェイスシールド着用前に比べ,義務化されて以降,医療従事者の頭痛の頻度が増加している傾向(p=0.056)が示された.フェイスシールドを装着することでめまいを訴える頻度も有意に増加していた(p<0.01).フェイスシールドの長時間着用により,頭痛・めまいが誘発されている可能性が示唆された.人間工学的なフェイスシールド・デザイン,連続装着時間の指針など,人間工学研究の展開が望まれる.

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