人間工学
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原著論文
始めに保持する力の有無が出力のグレーディング特性に及ぼす影響
大高 千明 藤原 素子
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2021 年 57 巻 1 号 p. 34-41

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抄録

本研究では,始めに保持する力の有無が随意的な力発揮におけるグレーディング特性(正確性,素早さ)に及ぼす影響について明らかにすることを目的とした.等尺性脚伸展動作を用いて,スタートレベル0% MVCからターゲットレベル20%,40%,60% MVCへ調節する課題と,スタートレベル10% MVCからターゲットレベル30%,50%,70% MVCへ調節する課題を設定し,条件(スタートレベル;0%,10%)と出力変化量(スタートレベルからターゲットレベルの出力変化量;20%,40%,60%)で比較を行った.発揮張力を指標とし,正確性(恒常誤差,絶対誤差),再現性(変動誤差)および素早さ(反応時間,調節時間,張力調節速度)を評価した.その結果,すべての誤差において,スタートレベルによる違いはみられなかった.反応時間については,出力変化量20%および40%においてスタートレベル10%が0%よりも有意に短かった.これらの結果から,比較的小さい力を調節する場合に,始めに力を保持した状態から調節するほうが素早く調節開始できることが明らかとなった.

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© 2021 一般社団法人 日本人間工学会
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