2021 年 57 巻 6 号 p. 303-309
本研究では,顧客視点に立った接客応対に関連するおもてなしの概念の整理を行うことを目指し,航空接客応対の模擬シナリオに基づいた実験動画を用いた顧客視点評価を実施した.実験では,120名の顧客役の幅広い年代の研究対象者を対象とし,研究対象者らは5段階の評価尺度を用いて顧客視点による模擬接客動画の主観評価を行った.得られた実験データは,多変量解析手法である因子分析を活用し,顧客視点による接客応対の要素を抽出した.分析結果から,顧客から見た接客応対は,接客応対時の説明力(頼りがい力)・対応力(インタラクション力)・表現力(マナー力)・スタッフ自身が持つ雰囲気(キャラクター力)というカテゴリに分類された.結論として,本研究で得た結果に基づき,おもてなしの概念を整理することが可能であり,接客応対時の4つの要素を抽出することができた.