保育現場ではデジタル機器の活用が進められており,本研究では,保育活動でのデジタル機器の使用経験と活動内容について,幼児同士の発話との関連を確認することを目的とした.調査は5歳児の3クラス75名を対象とし,デジタル機器の使用経験はAクラスが無,B・Cクラスが有であった.活動内容の課題はA・Bクラスが図形探索,Cクラスが動物模倣とし,調査用に開発した写真撮影アプリを用いた.写真撮影アプリはタブレット端末で使用し,写真の撮影と活動中の音声を記録できるものであった.発話解析はテキストマイニングを用い,幼児のデジタル機器の使用経験の有無や活動内容により発話量,頻単語および発話内容に違いがあるか比較検討した.使用経験の結果では,幼児のデジタル機器の使用経験の有無により発話量や発話内容に違いが確認されなかった.活動内容の結果では,動物模倣は図形探索より発話量が多くなることが示された.また,動物模倣では幼児同士の相互作用的発話が多くなることが示唆された.