臥床での生活や治療時の快適性の向上,褥瘡発生リスクの低減において,体表面が支持面から受ける圧力の管理や管理方法が重要となる.本研究では,マルチチャンネルA/D変換器と圧力センサーで構成した計測システムを用いて,ベッド上での体位変換中に被介助者が受ける接触圧力の推移と体位変換技術の快適性を評価するとともに,計測システムの有効性を検証することを目的とする.介助者として熟練看護師13名,被介助者として健康な成人女性1名を対象に,仰臥位から右側臥位への体位変換(4条件)において,被介助者とベッド間の接触圧力の推移を計測し可視化した.被介助者の膝を立てた姿勢に比べ,膝を伸ばした姿勢からの体位変換は,腰部への圧力負荷が高く主観的負担が増加した.各条件の計測結果から,体位変換前の姿勢と回転方法により被介助者が受ける接触圧力の影響が異なること,計測システムにより体位変換動作の違いを接触圧力の推移から識別できることが示唆された.