2023 年 59 巻 2 号 p. 73-77
本研究の目的は,対戦型カードゲームにおいてカードを引かれる側のプレイヤーの視線の動きを適度な粒度でカードを引く側のプレイヤーに提示することにより,プレイヤー間のゲームスキル差を埋めるなど,対戦をより楽しむことができる仕組みを構築することである.その前段階として,カードを引かれる側のプレイヤーが特定のカード(ジョーカー)を持っている際に採る戦術を客観的データである視線分析結果に基づいて分類し,そのプレイヤーが意図した戦術との一致度を実験により調査した.また,カードを引く側のプレイヤーが相手プレイヤーの視線の動きを主とした外的表出から推定したジョーカーが正解かどうかを測定した.実験の結果「ババ抜き」を模した実験において,カードを引かれる側のプレイヤーはジョーカー以外のカードを最も注目する戦術,または,ジョーカーに最も注目する戦術を取りやすいことが分かった.また,ジョーカーに最も注目する戦術では,カードを引く側のプレイヤーがその意図や戦術を読み取ることができた.これらの結果や実験協力者への質問結果から,より多くのプレイヤーにとって楽しいと感じられるゲーム体験の実現方法についても検討した.