1978 年 14 巻 6 号 p. 335-342
人を含め生物は, 数多くの優れた機能を有し, その動きには, 滑らかで美しい動きと思われる運動が多く含まれている. 例えば, 体育演技, ダンス, バイオリンなど楽器の演奏, その他人の多くの行動にその例をみる.
本研究は, 機械一般の運動を動的に美化することを目的とし, 滑らかで美しい生物の動きをモデルとして, とくに人が物体を持ち上肢を直線運動させる実験から, 物体の上肢による直線運動の特徴を抽出し, これを検討した. その結果運動の特徴をあらわす, 最大加速度, それを達成する時刻, 位置などは位置決め精度, 移動距離の大きさによって著しく影響を受けることが明らかになった.
記録した加速度波形を三角近似すると, 最大加速度と最大減速度との比の絶対値p, 加減速切換時間β, 動作時間Tとの間に,
T=β(1+p)
なる関係がほぼ成り立つことを示した.