抄録
精神遅滞者 (年齢6~49歳, IQ 14~115) の全身反応時間の年齢および知能による分布を検討した. 全身反応時間は跳躍時の足底圧変化による歪圧曲線から測定し, 動作開始時間と動作時間の2成分に分けて分析した.
精神遅滞者の全身反応時間, 動作開始時間, 動作時間の平均は健常者の標準値よりも大きな値を示した. 全身反応時間と動作開始時間の年齢による分布は, 加齢により長い反応時間が減少する傾向を示した. 動作時間については, 年齢による変化はみられなかった. 成人の被検者では, 全身反応時間, 動作開始時間はIQと正の相関を示した. どの年齢あるいはIQでも, 精神遅滞者の最も短い反応時間は健常者の標準値と同程度の値であった.