人間工学
Online ISSN : 1884-2844
Print ISSN : 0549-4974
ISSN-L : 0549-4974
観察者自身が動かす視標に対する随従眼球運動
松岡 清利
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 23 巻 6 号 p. 367-372

詳細
抄録
Steinbach によると, 観察者自身が自分の手で視標を動かし, それを眼で追う場合には, 観察者の意志とは無関係に動かされた視標を追う場合に比べて, 随従眼球運動が大きく現れる. 彼は, この原因として手を動かすための遠心性信号が動眼系に伝達されるためと考えた. ところで, アイトラッキングにおける追従性能は, 視覚だけを手がかりとする場合でも, その動きが予測可能 (規則的) な場合はそうでない場合に比べてよくなることが知られている. 本論文は, Steinbach の結果が単に視標運動に対する予測性の大小によるものなのか, あるいはそれとは異なった原因によるものなのかを明らかにしようとするものである. 実験の結果, 自分で動かした視標を追跡する場合の追従性能の向上は, 視標の動きが予測可能である場合のそれと全く同じ性質をもつものであることがわかった.
著者関連情報
© 一般社団法人 日本人間工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top