抄録
本研究は, 手動制御系における人間の制御機能が与える制御特性への影響とその個人差について, 制御動作の無動作部と動作部とからなる微小動作により解析した. その結果, 次の諸点が明らかになった.
(1) 入力情報に対する人間の基礎的な処理機能, 運動機能は, 微小動作により表現できる.
(2) 制御機能の限界値により, 制御者は微小動作形状などが異なる2群に大別される.
(3) 制御機能の限界値は, 明確な個人差を表現する制御可能域の広さと負の相関関係にある.
(4) 制御可能な系において, 制御限界時を基準とした制御機能レベルは, 試行の繰り返し効果とその個人差を解析するうえで有効な指標である. 特に, これらの推移は誤差面積減少の速さと関連がある.