抄録
高齢者の日常生活行動に関するアンケート調査を, 40~80歳代の男女1068名に行い, 加齢による生活動作能の変化の実態把握を行うとともに, 動作能に影響を及ぼす要因について検討した. その結果, 本調査対象は積極的に健康管理を心がけ, 趣味活動を通して豊かな生活創造への姿勢が認められるが, 筋力や脚力の衰えは年齢との相関が極めて高く, 加えて, 関節や感覚機能の障害が生活空間への対応をより困難にしていることが認められた. また, 女性では家事作業と活動レベルとの間に相関関係があり, 機能維持のための有効な手段と考えられる. したがって, 身体状況に応じた活動が持続できるような空間計画が必要である.