合成音声の了解度, 明瞭性の次の目標は, 人の声に近い, より自然な音声を合成することである. その方向で現在進められている研究の中心は規則合成法であり, 人の声を分析してフォルマント, ピッチ, 音韻継続時間などの規則性を見いだし, この規則を合成時に適用しており, 人の声の諸特性を漠然と模倣しているといえる. これに対して筆者は, 人が音声を主観的に評価するときの主な要因を調べるために, 無意味つづり音声を用いた主観的評価実験を行い, 主成分分析によって透明感, かたさ, 男性的↔女性的, 個性の強さの4つの評価軸を得た. これらの評価軸は, より自然な合成音声を研究・開発するうえでの評価指標になると考えられる.