抄録
楽曲情報と情動値との関係を求めるために音楽の確率システム表現を考察した. まず, 区分的定常確率過程が連なって非定常過程となっている楽曲の階層的旋律モデルをつくり, 対数尤度比関数の傾きとDPマッチング法を用いてセグメンテーションを行った. 次に, 区分定常過程の旋律に対してARモデルを適用して得られた特徴量と, その楽曲の心理試聴実験により得られた情動値との関係を, 正準相関分析法を用いて求めた. AICを用いた最適モデル次数は, 4分音符単位で7個であり, 音楽合成の研究結果とほぼ一致した. また, 旋律と音程過程に対しスペクトル分析を行い, 情動値との関係を求めた結果,“安らぎ”と2分音符が深い関係にあることなどがわかった.