人間工学
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看護婦が深夜勤務時にとる仮眠の効果 (I)
勤務中の覚醒水準の変化
佐々木 司菊池 安行新藤 悦子
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1993 年 29 巻 1 号 p. 25-32

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抄録
本報は, 看護婦が深夜勤務時にとる仮眠の効果を勤務中の覚醒水準から評価した. 被験者は9人の健康な未婚の病棟看護婦である. 彼女らは仮眠と仮眠なしの両条件を課せられた. 仮眠は2時30分から4時までの90分である. 覚醒中の測定は, 23時30分から10時までに90分間隔で行った. 測定項目はフリッカー値, 4選択反応時間, 自覚症状, 眠たさである. 仮眠中は携行式脳波記録装置によって睡眠ポリグラムが測定された. 結果は, 仮眠中の睡眠時間は59.6分であった. その睡眠内容は, 睡眠段階2が31.8分を占め, 深い睡眠である徐波睡眠やレム睡眠はほとんど出現しなかった. しかし, 5時30分以降でフリッカー値, 速い10%成分の反応時間, 自覚症状のI群, II群において, 条件間に有意差が示された. これらの知見は, たとえ睡眠脳波学的に仮眠内容が十分でなくとも, 仮眠が覚醒水準を維持することを示唆するものである.
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© 一般社団法人 日本人間工学会
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