人間工学
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頸髄損傷者における単速度動作特性をもつジョイスティックの操作特性
井手 將文藤家 馨御手洗 謙二黒須 顕二
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1995 年 31 巻 2 号 p. 141-149

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抄録
本論文は, 四肢麻痺を有する頸髄損傷者におけるポインティングデバイス操作特性を明らかにすることを目的とした. 使用したデバイスは単速度動作特性をもつジョイスティックであり, CRT画面上でのカーソルと目標との重ね合わせ実験を, 頸髄損傷者8名と健常者3名を対象に, 8段階のカーソル速度で実施した. 1回の試行における操作時間は, 操作開始までの反応時間, 目標まで一気に接近する接近時間, 目標近傍で細かく重ね合わせる調整時間, 目標との重なりを確認して確定入力を行うスイッチング時間の4要素で構成され, 頸髄損傷者と健常者はカーソル速度に対し同様の時間パターンを示した. 高速時の調整動作でインチング操作が繰り返された. インチングのON時間は, 各被験者の操作下限近辺に集中し, 頸髄損傷者は健常者より長い時間となった. OFF時間は全被験者においてON時間より長く右裾広がりの分布となり, 頸髄損傷者ではより広い分布をもつ者が出現した.
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© 一般社団法人 日本人間工学会
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