今後, ロボットは社会福祉分野および医療分野などで人間と同じ動作空間を共有して, 重要な役割を果たすことが期待されている. このような場合, ロボットは人間心理に好ましい動きをする必要がある. 本論文では, 人間の上肢運動を速度パターンの違いという観点から特徴づけ, それらに基づくロボット運動の心理的評価を評定尺度法を用いて行った. これにより動きのもつ人間らしさと, その要因について検討した. まず, 人間の上肢運動に対する人間らしさの要因を調べるため, 種々の手先速度パターンモデルのもとでCRT上に2関節平面運動を提示し, 10名の被験者による評価を行った. その結果, 速度パターンにおける動作時間内の速度ピークの位置と最大速度が人間らしさに影響を与え, 人間らしいという感情は快いという感情に基づくことが示された. 次に, 産業用ロボットの2関節運動に対して同じ実験を行った. その結果, 人間らしさについては, 人間上肢運動と同様の要因が関わっていることがわかった.
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