抄録
本研究は, 目標値の将来値と制御量の予測値を同時に表示する手動予知・予測制御系における制御量の予測値演算法を提案し, その有用性を実験的に確かめることを目的とする. 制御量の予測値演算法として, まず現時点における人間操作者の制御特性を表現する人間モデルを同定, 推定する. 次に, この人間モデルと制御対象のシミュレータを直列結合した人間―機械モデルに目標値の将来値を入力し, そのシミユレーション結果を制御量の予測値とした. 現時点における操作量を一定とし, その一定操作量に対して, 将来の制御量を予測していた従来法との比較から, 提案法の有用性を実験・検討した. その結果, 提案法による制御量の予測値表示は, 制御が難しい制御対象 (二次遅れ要素) の場合に, 有効な一手法であるという結論を得た.