人間工学
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温熱環境が心拍変動に与える影響
西川 向一平澤 由美長町 三生
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1997 年 33 巻 2 号 p. 105-112

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抄録

生理応答の一つである心拍変動が, 実際の環境を評価する指標として適用可能であるかを等温除湿時の環境を体感する被験者実験を行い検証した. 本研究では, 精神的なストレス状態や生体への負担との関係が深いとされている心拍間隔とその分散, 心拍変動波形のスペクトル解析, および心拍変動波形の相関次元の3つを評価指標として用いた. その結果, 心拍間隔と心拍間隔の分散は, 室内温度が高いほうが, また湿度も高いほうが小さい値を示し, また相関次元は, 室内温度の変化では大きな相違がみられなかったものの, 低湿度では相関次元が小さくなる傾向がみられ, 精神的なストレス状態にあるときと同様の生体反応を示すことがわかった. 心拍変動波形のスペクトル解析の結果では, 比較的快適な室内温度とされている室温26℃のとき, 湿度の低下に伴い血圧調節リズムである0.1Hz近傍で顕著なピークが現れ, このとき交感神経が優位に活動していたことが示唆された.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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