マルチメディア絵本について, 特に視覚メディアのあり方について検討した. パーソナルコンピュータ上に, マルチメディア絵本を制作し, メディアの組み合わせと理解度の差異, メディアの組み合わせと注視点の違い, 絵の楽しさと展開間隔, 展開のタイミング, などに関して実験検討を行った. 理解度テストと注視点分析の結果, 学習者は, 物語の筋を, 主にナレーションから得ていること, また情景イメージの構築と固定化には, 絵の提示が望ましいことが明らかとなった. また, 絵の内容量により, 絵の観察時間が異なることから, 内容量に応じた改画面時間の設定が望ましいことが明らかとなった. さらに, 画面展開のタイミングについては, ナレーションの中で新しい登場物が現れたときなど, その時点における学習者の情景イメージにそぐわない状況になった場合に行われるべきであるとの示唆が得られた.
抄録全体を表示