人間工学
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感性工学による温熱環境の評価
西川 向一平澤 由美長町 三生
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1997 年 33 巻 5 号 p. 289-296

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抄録

視覚刺激から得られた温熱感性が, 実際の環境を評価する指標として適用可能であるかを体感実験により検証した. その結果, 本手法による評価結果は, 従来から環境の評価指標として用いられている主観申告やPMVと同様の傾向を示しており, 本手法が空調環境の評価に適用可能であることが確認された.
そこで, 本手法を適用した事例研究として等温除湿時の環境評価を試みた. その結果, 室温30℃以上の温度域では除湿により心理状態の大きな変化はみられなかったが, 室温26~30℃では, 快適で涼しい状態へと心理状態が大きく変化することが確認された. 一方, 室温26℃以下では, 湿度の低下により心理状態は寒い側へ大きく変化し, 不快な状態になることがわかった.
また, 実際の環境条件と評価に用いた形容詞との関係を数量化I類を用いて数値化した結果, この手法により各個人の表現する感情や感覚を反映した環境を提案することが可能となった.

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© 一般社団法人 日本人間工学会
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